昔の作品について


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 というわけで、今日、ピクシブに昔作ろうとした作品のシナリオを全部上げてきました。割と複雑で、気に入った所もあったのですが、やはり三年前のものという事で、拙い所が目立ってしまって、これ以降作る事はないだろうという事で。

 

キャラクター図が既に3Dであるように、実際に映像化するための作業も進めていました。これらの資産と経験値は、直接現在作っている作品へと発展、継承されています。

 

今回はその辺をちょろっと触れながらも、全体を見返す言い訳タイムをやろうと思います。

 

 

なぜ作るのを止めたのか

 手間がすごすぎる。読んだら判ると思いますが、スケールが無駄にでかい(そういう大きな話が、当時はやりたかったんです)。巨大物のバトルシーンが頻繁に出てくる(これは意図してですが、結果として作業量がえげつない事に)

 

 今でこそ、BGMやSEのフリーデータが沢山共有されていますが、3年前はそういうものへのアンテナも鈍く、全くの手探り状態。いくら何でも初心者が(モデル類を含め一から)作れるものではない…という事も判らなかった訳です。

 

 また、作品の根本となる世界設定に、致命的に安易な物がある。これがずっと引っかかっていました。台詞回しが臭いのは良い、長々しいのも良いだろう。あとで編集すればいい事です。けれど、それを支える設定が拙いものであるという事が、決定的にこの作品を過去のものにしている。当時は、それよりも沢山のキャラクターを、大きな物語の中で動かし、説明を重ねつつ感情の波を伝える、という行為に注力していて、設定を緻密に詰めることによって生まれる説得力に、ほとんど配慮できていませんでした。ある意味で、当時なりに目標を達したと思ったものの、今見返すと紙の舞台の上で人間が一生懸命芝居をしている、そんな歪さが目立ちます。

 

 そして、それら設定を組み直して、話の展開を修正し、さらに世界観の説明を積み上げられるようシナリオを改定する、という作業が、膨大な実務作業の前に横たわっている。これを顧みて、これを新しいものとして世に問えるかというと、僕にはそういったビジョンが描けなかった、という所です。

 

 しかし、これらの反省は、現在作っている作品にきちんと反映されています。

 

現在作っている作品への継承

 

①規模

 前回のブログ記事に、いくつかスクリーンショットを載せましたが、現在作っているものは学園部活モノです。規模を大きく限定し、キャラクターも女子で揃え、着替えもない。モデルやモーションの流用は大前提です。没作品への反省から、日常で音を集められるもの、そして、全体の統一感や世界観設定を、比較的楽に行えるものとして検討しました。その一方で、SDキャラにすることで作業量を圧縮し、世界観の安易さを誤魔化そうとしていた面を改め、実頭身に近い形で、説得力を高められるようにしています。作業量は増えましたが、重要な事でした。

 とは言え、すでに年単位で作業が続いています。

 

②モデル

 没シナリオの冒頭にキャラクター図が載っていますが、それらのモデルは順当に現在のモデルへ改造されています。

 例えば、アラワと四条紗衣は直系の改造です。

 また、綾里美佳は、アオテアの改造です。

 没作ではアオテアが主人公でしたが、今作ではアラワの直系が主人公という事になります。とはいえ、キャラクターの性格は全然違います。その辺の違いも、本編投稿時には楽しんでもらえると面白いかもです。

 

③台詞回し・テンポ

 シナリオの書き方が大きく変わりました。実は今作のシナリオは、部分的に合作となっています。以前はすべて自分で書いていたのですが、限界がありました。

 説得力がいい加減になる自分のクセもそうですが、会話の咬み合わせが良すぎるのです。こういった状態は、流れのある大きなものを書く内では良いのですが、日常シーンになってくるとどうしても活気がありません。会話と考えのぶつかり合いが、激昂になってしまうのであれば、それは大きな物語でやるべきこと。一方で決まりきったことを、幾人ものやり取りで喋るのであれば、それは詰まらない物です。

 今作では他者を入れることで、全く自分とは思考の違う者たち、を揃えてみました。すると、日常の会話をさせるだけでも小さな価値観がぶつかり合い、小気味のよい音を奏でてくれる事が判りました。

 

 また、規模が小さくなったことで、コンテ作業や、実務作業が完全に自分でコントロール出来るようになり、シナリオも厳密に書き上げるのを止めることができました。

 必要事項を書き出してある程度に固め、絵コンテ段階で演出と合わせて必要十分な台詞回しに編集するような方式としました。スピード感が出て、思いついたネタをサラッと入れたりできる。一方で、安易に全て喋らせていた部分を考え直し、キャラに最適な言い回しに圧縮するシークエンスが発生したことにより、キャラクターそれぞれへの理解がより深まっていく

 規模が小さくなった分、その深さは、きわめて重要な作品の要素となっています。

 

 台詞の圧縮については、過去にツイートしていますので、参考までに。

twitter.com

 

 

④説得力

 今作はジャンルモノにすることで、そのジャンルに精通した人と協業し、世界観をより厳密に練り上げることができるようになりました。これは僕の最も苦手としていた所です。十分な世界観を構築できたため、安心してキャラクター達を遊ばせることができるようになりました。

 

 

おわりに

 以前自分が作ったもの、それも大きな設定の作品で、大きな感情のやり取りで構成された作品。今は、それとはまったく違ったものを作っています。没にした理由ははっきりしていますが、こういった記事を書くほどには、自分にとっては重要な足掛かりとなる作品でした。

 自画自賛になりますが、キャラクターの相関や、歴史的な動きの複雑さやその見せ方など、取りこぼしは多いものの、良く走り抜けたね、という部分もあり、一概には嫌いになれない作品です。

 

 本編投稿の折りには、前作としてこんな物語があったのだと、没作品ながら、改めて楽しんでもらえればありがたいなと思います。

 

それでは。